2011年05月24日

日本最初の讃美歌翻訳者は勝海舟

 日本最初の讃美歌翻訳者はなんと、あの勝海舟なのだそうです。

 1857(安政四)年、長崎海軍伝習所に、幕府がオランダから
購入したヤバン号(咸臨丸)に乗船して来日した、リッダー・ホイ
セン・ファン・カッテンディーケ(1816〜1866)というオランダ人
第二次教師団の団長は、オランダ改革派教会に属する熱心なクリス
チャンであったそうで、オランダ語ができた海舟とはお互いに強い
信頼関係にあったようです。

 そのカッテンディーケたちが歌うオランダの教会でよく歌われて
いた讃美歌「たたえよ神を!」をよく耳にしていた海舟が、その詩
を聞き覚えで翻訳したのが、海舟が作った新体詩とされていた、
「思いやつれし君」という詩であることが蘭学研究家の菱本丈夫氏
によって発見されたそうです。

 従って、勝海舟は、日本における海外の讃美歌を最初に翻訳した
人物であるといえるとのことです。

 以上は、「福音社発行 サインズオブザタイムズ 2011年5月号
31〜32ページ」に詳しく書かれています。

 さらに驚くべきことに、海舟の三男の梅太郎と結婚したアメリカ
人女性、「クララ・ホイットニーの日記」(中公文庫)によれば、
海舟は晩年、死の二週間前に信仰告白によりキリスト教に入信した
とのことです。

 坂本龍馬や西郷隆盛とともに、明治維新を実現させた勝海舟につ
いて、こんな話があるというのは意外でした。

 では、また。  

Posted by 富田昭生 at 19:18Comments(3)

2011年05月16日

日本の原子力産業は終わった

 「日本の原子力産業は終わり、新たな原発の増設は
未来永劫に不可能、電力は長期にわたって不足する」
と大前研一氏は「日本復興計画 文芸春秋社 2011年
5月10日発行」の8ページで述べています。

 「もし電源が回復し、機器の機能が確認されれば、
安定的に注水・冷却が可能になる。どのくらい冷やし
つづけるかというと、三年から五年。」(56ページ)

 「すべて冷やしてきれいにして、そこでようやく
コンクリートで永久封印をする。それが六年くらい
先の話である。こうした私の説明に政府幹部が仰天
したのも、彼らは五年のスコープで物事を考えてい
なかったからだ。
 そして、汚染地域をどんどん縮小したあと、原子炉
跡地周辺は半永久的に立入禁止区域とする。」(59ペ
ージ)

 100ページには、「おそらく東電は、一度は潰れる
だろう。補償などあらゆる債務を負う整理会社と、
事業を推進する会社に分割するしかない。そして再生
したとしても、主として配電会社になるだろう。高圧
の送電は別の国策会社(公社)が一括して引き受け、
東電は、各家庭や工場に電気を届けるだけの配電会社
になることも考えなくてはいけない。考えてみれば、
水道やゴミ処理は公営でやっている。なぜ電気とガス
は民営なのか。そのあたり、日本は考え方がそろって
いないのだ。」と述べています。

 そして、「東電はもとより、日本の電力会社はどこ
に向かうのだろうか?
 民間企業としての電力会社がもはや成り立たないこ
とは、すでにお分かりと思う。原子力発電のリスクは
民間企業では負えないし、ましてや上場企業では制御
不能のリスクというしかない。だから、もし是が非で
も原子力を推進したいのであれば、国がその施設を譲
り受けて、発電も国そのものが原子力行政の一環とし
てやる。これしかない。安全審査、住民対応、オペレ
ーションなどは、全て国の責任で行うことにする。そ
して、今ある十の電力会社は公営原子力公社から買電
する。火力、水力、その他の発電は、望むなら継続し
ていいだろう。ただし、民間や外資の発電事業への参
入は自由化すべきだ。」(99ページ)というところは、
私もまったく同意見です。

 では、また。  

Posted by 富田昭生 at 10:36Comments(0)