2008年12月10日

資源としての水

 「日本はトウモロコシ、大豆、小麦などの穀物を、毎年、大雑把にいって
3000万トンも輸入しているが、これは専門家の換算によると約1200万
ヘクタールの耕地に相当するという。

 日本の耕地面積は現在、約470万ヘクタールだから、日本は自国の
2.6倍の耕地を輸入していることになってしまう。

 穀物を1トン収穫するには1000トンの水が必要なので、輸入穀物だけ
で実は3000億トンの水を輸入していることになる。

 さらに、他の野菜や果物などすべての農産物の輸入量から換算すると、
なんと、輸入している水は約650億立方メートルにもなる。

 日本国内の灌漑用水の使用量が570億立方メートルだから、すでに
農産物を通じて輸入している水は、国内の灌漑用水量をはるかに超えて
しまっているのだ。

 日本の水の66%は農業に使われているから、あとの34%をすべて農業
に使ったとしても、現在日本人が消費している農作物を自給することはでき
ない」のだそうです。

 「世界と日本経済30のデタラメ 幻冬舎新書」で、東谷暁氏はこのように
述べています。

 そして、「水は代替の利かない資源であり、農業だけでなく鉱工業から
ハイテク産業に至るまで不可欠である。それだけに、資源や食糧をめぐって
国家間、地域間、公と民とのとの間に軋轢が起こるこれからの時代は、水が
熾烈な争奪の対象となる危険性をはらんでいる」と警告しています。

 そして、「まず日本がすべきことは、農業に使われている66%の水資源を
有効に利用することだろう。」

 「日本の水田は、かつては水を繰り返し利用する段階利用だと評価された
こともあるが、現在は減反政策などのために、水田の半分が利用されていな
い状態なのである。利用されていない休耕田のなかには、ただ水を張って放置
されているところすらある。これでは水はむなしく蒸発するだけで、有効利用され
ているとはとてもいえない。
 
 かつてのように、すべての水田に水を導き入れて水稲を栽培し、できたコメを
国内で消費するというシステムは、カロリー効率がきわめてよく、自国内の水を
有効に利用していただけではなかった。他国の農作物を輸入しなかった分だけ、
他国の水を収奪せずにすんでいたということでもあるのだ」と、日本農業の復活
と、資源としての日本の水の有効利用を訴えています。

 では、また。

Posted by 富田昭生 at 09:26│Comments(0)
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